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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

「がん治癒率」…知る人と知らない人で大きな違いが生まれる

公開日: 更新日:

 オリンパスは、40~60代の男女1万4100人を対象にがん検診の受診状況や受診・非受診の理由などについて調査。その結果を「胃・大腸がん検診と内視鏡に関する意識調査白書2024」にまとめ、今月8日に発表しています。

 注目点がいくつかある中、見逃せないのは正しい知識の定着率の低さです。胃がんと大腸がんを早期発見して早期治療すると、その治癒率はどちらも98%と100%近い。ほぼ治るのが現実ですが、その治癒率を「90%以上」「60~90%未満」「30~60%未満」「30%未満」の4択で選んでもらうと、「90%以上」はわずか3割未満。

 この調査は21年にも行われ、当時と比べて「60%未満」の選択率は10ポイント前後増えていました。がんは種類によっては治る時代ですが、治らないと思っている人が少なくない現実を示しています。

 その誤解が均一に広がっているかというと、そうではありません。がん検診を受けた人と受けていない人の意識の違いに表れています。検診受診者は、胃がんでも大腸がんでも「自覚症状がなくても定期的に受けるべきだと思う」が7割超でしたが、受けなかった人で「自覚症状なしで受けるべき」は2割ほど。一方、「検診対象年齢であったことを知らなかった」は、受診者にはほとんどいませんが、受けなかった人では2割ほどです。

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