動物の行動や空の変化 大地震予測する宏観異常現象って?
今後30年間に70~80%の確率で起こる南海トラフ巨大地震。国が巨額の予算を投じ、さまざまな研究者が「予知」に取り組んできたが、江戸時代から続く民間伝承もあながち捨てたもんじゃない。
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ナマズが暴れると地震が近い――。
こうした大地震の前兆として発生する現象は「宏観異常現象」と呼ばれている。中国由来の言葉だが、地鳴りや動物の異常行動、地震雲、近年では電磁波やイオン・ラドン濃度から前兆を察する研究も行われている。いずれも大地震との科学的な根拠は証明されていないが、これを防災手段として大真面目に情報収集しているのが「高知県」だ。
同県の危機管理部南海トラフ地震対策課の担当者がこう言う。
「2011年の東日本大震災を受け、防災対策のひとつとして13年から県民に宏観異常現象の情報を募集しました。宏観異常現象は科学的な根拠はないとされていますが、研究を始めている機関もありますし、予知が難しい中、前兆を知る材料になる“可能性”はあると思っています」
高知県では過去3カ月以内に確認された内容を手紙、FAX、電子メールで受け付け。これまでに「いつも見かけない用水路でナマズとコイを確認した」「自宅の泉が枯れた」「ピカッと光る発光現象を目撃した」「ゴゴゴゴゴーという地鳴りのような音が聞こえた」といった情報が寄せられているという。
そういえば先月上旬、神奈川県三浦半島で「ガス漏れのような臭いがする」などと500件以上の通報があった。この異臭、1995年の「阪神・淡路大震災」(M7・3)の前にも六甲山の東端地域で報告されているのだ。
また、静岡県駿河湾の春のサクラエビ漁が史上最低の水揚げに終わったが、23年9月1日に相模湾海底で発生した「関東大震災(M7・9)」の際も、〈相模湾でまるっきり魚が取れなくなった〉という文献が残っている。それとは反対に、阪神・淡路大震災の1カ月前には、淡路島・瀬戸内海でアオリイカの水揚げが過去最大というニュースもあった。
関東大震災の宏観異常現象としては、地震の3~4カ月前から〈茨城・水戸や千葉・銚子で有感地震が急激に増加した〉という記録が残っており、1週間ほど前には〈東神奈川の海岸寄り運河でハゼが異常発生〉〈神奈川県中郡南秦野村の井戸で大地震前に水位減少〉といった報告もある。