競走馬を所有するためのQ&A…ばんえい競馬なら年金生活者でも夢の馬主になれる?
現在の馬主は300人ちょっと
そこでばんえい競馬馬主協会に素朴な疑問をぶつけてみた──。
【Q】申し込みはどうすればいいですか?
「馬主登録の申請には、住民票や戸籍謄本、所得証明書などが必要です。申請から登録までは、おおむね5カ月が目安となっています。ぜひ道外の方々にも馬主になっていただければありがたいですね」
【Q】競走馬はいつどこで購入できますか?
「中央競馬のようにセレクトセール(競り市)はございませんので、生産者・牧場から直接買うのが一般的です(庭先取引)。牧場主さんと仲良くなればスムーズに購入が進むと思います。市場で購入する場合は、10月下旬や2月下旬に取引がございます」
【Q】馬は1頭いくらくらいですか?
「かつては高いもので1頭3000万円という時代もありましたが、今は翌年出走させる1歳馬の価格で200万円くらいからになります。もちろん、価格は血統や年齢、性別などによって違いますから一概には言えません」
【Q】馬の維持費は月にどれくらいですか?
「維持経費は育成牧場に預ける期間は一般的に月10万円前後。競走馬として入厩してからの預託費用は、おおむね月15万~16万円というところです。中央競馬の70万円程度と比べるのは何ですが、大きなお馬さん(古馬だと1000キロ超)でいっぱいご飯を食べても、預託費用は安くなります」
【Q】レースの賞金額はどれくらいですか?
「今年度ですと、普通競走の1着賞金が26万~65万円。特別競走で同48万~85万円。3月下旬に開催される『ばんえい記念』(旧農林水産大臣賞)ともなると、1000万円になります。そのほか、出走手当や着外手当もあります」
【Q】現在、馬主さんは何人くらいいますか?
「昔は会社の社長さん、地元の名士たちが馬主であることをステータスにしていて、ピーク時には700人以上の馬主がいました。それが年を経るごとに減り続け、今は300人ちょっと。馬と共に減り続けています。このような危機的状況の中、関係者も『いつ廃止になるか』と心を痛めております」
【Q】最盛期の賑わいはどうでしたか?
「馬主さんが家族や友人、知人を引き連れて競馬場を訪れ、熱狂的に応援したものです。時代もあって、今はお酒を飲んで大盛り上がりするという感じではなくなりましたが、道外からのファンにも支えられています。特に『ばんえい記念』の熱気は凄まじく、馬の吐く白い息、1トンを超す馬体など、近くで見ないとあの迫力は分かりません」
【Q】最高でどれくらい稼ぐ馬がいますか?
「30年くらい前の最盛期には年間数千万円を稼ぐ馬がいました。生涯獲得賞金1億円達成馬も、キンタロー号(昭和54年デビュー、61年引退)など7頭出ています。今日では最高峰のレース賞金も半分に。06年、それまで4市で開催されていたばんえい競馬は、売り上げの低迷から3市(旭川市、北見市、岩見沢市)が撤退し、帯広市も存続の危機でした。ところが、全国から存続を望む激励の声が届き、九死に一生を得て今日のばんえい競馬になっています」
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全国からの応援もあって23年度の売上額は559.5億円。帯広市単独開催以来の最高額を更新している。