晴海フラッグでは逮捕者も…マンション内覧の“鍵問題”が業者の怠慢とはいえない複雑事情
一方で、キーボックスの安易な設置には深刻なリスクも伴う。先月には内覧用のキーボックスを悪用し、空き部屋に現金を送らせる特殊詐欺事件が都内で発生。犯人と、もみ合いになった配達員が大けがを負うという事態に発展した。
この課題に対し、業界ではいくつかの対応策が模索されている。一つは物件近くの不動産店舗で相互に鍵を預かり合う従来からの態勢だ。ただし、晴海フラッグのように、周辺に不動産店が少ないエリアだと、この方法での対応は難しい。
もう一つの解決策として、スマートロックと呼ばれる電子キーシステムの導入が挙げられる。
スマートロック製造のライナフ(東京)の滝沢潔社長は「最新の鍵では仲介担当者のスマホアプリに解錠機能を付与できるので、物理的な鍵の受け渡しは必要ありません。暗証番号を知らせる方式でもネット上ですぐに変更できるため、悪用できません。鍵の紛失といったリスクも発生しません」と説明する。
入居時の鍵交換費用も不要になるメリットがあるが、導入費用の負担が重く、賃貸住宅では普及が進んでいない。だが、今回の事態を受けても「新規導入の問い合わせは、まったく増えていません」(前出の滝沢社長)。