晴海フラッグでは逮捕者も…マンション内覧の“鍵問題”が業者の怠慢とはいえない複雑事情
東京都中央区の大規模マンション「晴海フラッグ」で、公共の柵に鍵の入ったキーボックスを設置したとして、都内の不動産会社代表が軽犯罪法違反の疑いで書類送検された。内覧のための鍵の受け渡し目的だったが、都の管理する柵への無断設置は業務妨害にあたるとされた。
周辺では約220カ所で約30個のキーボックスが発見されており、現在は撤去が進められている。
晴海フラッグ内には約1500室もの賃貸住宅があり、連日、頻繁に内覧客が訪れる。従来なら仲介担当の会社が元付(もとづけ)と呼ばれる物件管理会社から鍵を預かって内覧に向かう。しかし、鍵のやりとりの手間を省くため、現地でのキーボックス利用が横行したようだ。
だが、これは不動産業者の単なる怠慢とは言い切れない実情がある。
「不動産会社にとって、鍵の受け渡しは大きな負担になっています。実際に1件の物件内覧のために鍵で数時間を取られることもある。人手不足が深刻な今、鍵の受け渡しにかかる人件費は経営を圧迫する要因の一つ」と、賃貸仲介業に詳しい経営コンサルタントの南智仁氏が解説する。