不祥事の後始末に奔走…斉藤仁氏は全柔連の“汚れ役”だった
強化委員長として現場に足を運ぶかたわら、時間が空いた時には、斉藤氏が問題の理事たちに電話して助成金の返還を督促。応じない場合には、自ら出向いて説得したという。
柔道界は現役時代の実績がものをいう世界。現役時代に五輪や世界選手権で結果を残した選手が引退後、要職に就くケースが多いのはそのためだ。年配の理事であっても金メダリストである斉藤氏の要請には逆らえない。斉藤氏が汗を流したこともあり、不正に受給した助成金をほぼ全額回収できたそうだ。未回収に終われば、不足分は理事会のメンバーが負担しなければならなかったため、JSCへの返還は斉藤氏の功績として評価されているという。
全柔連の上村春樹前会長(現講道館館長)は「来年のリオ、20年の東京に向けて前面に立ってやってもらいたかった。大変な痛手だ」と惜しんだ。斉藤氏に足を向けて寝られない。