国交回復宣言の裏でMLBに立ちはだかるキューバの“組織”とは
また、CANFはキューバに進出しようとする企業や団体に対して、さまざまな方法で圧力をかけている。それだけにキューバに野球学校を設立、選手を安定して獲得するための仕組みを作りたい大リーグ機構や各球団にとってもCANFの動向は無視できない。
今春にキューバでスプリングトレーニングの実施を計画していたボルティモア・オリオールズが開催の時期を2016年に変更したことは、CANFからの圧力はなかったかもしれないものの、「キューバとの国交正常化は時期尚早」という意見に配慮した結果であろう。
CANFなどの強硬派は政府によるキューバとの完全な国交正常化の実現を阻止するために全力を挙げることになる。その一方でオバマ政権は大リーグを国交正常化の象徴の一つとして活用しようとするだろう。
果たして強硬派の制止を振り切ってキューバに進出するのか、それとも政治的な配慮によって事態の推移を静観するだけにとどまるのか、球界には政府や圧力団体の間を巧みに立ち回ることが求められるのである。
(法大講師・鈴村裕輔=アメリカ野球愛好会副代表)