大相撲初の無観客場所が「土俵」と「財政」に起こす波紋
3月場所で大関とりを目指す朝乃山も「(無観客なら)寂しい。力士は声援が大事」と常々話していた。無観客でも本場所は本場所。朝乃山にすれば、「なんでこんな大事な時に……」という心境ではないか。
■本年度赤字の恐れ
土俵のみならず、協会に与える影響も大きい。すでに完売している前売り券の代金は、15日間の合計で10億円にものぼるという。
「お茶屋(相撲茶屋)への補填もある。2011年は八百長騒動の影響で2場所、チケットを売らなかった。当時の補填額は一律同じ金額だったけど、今回はすでに販売しているからね。個々のお茶屋ごとへの対応になると聞いている」(前出の親方)
相撲協会は内部留保が多く体力があるといわれているが、10億円を超すマイナスは大損失。最新の決算が出ている2018年度は5億700万円の黒字だったから、今年度は1回の無観客開催で一気に赤字となりかねない。
場所前恒例の一門会も、すべての一門で中止が決定。力士のみならず、親方衆にも「不必要な外出は自粛するように」と要請が出たという。