IOCバッハ会長は超VIP待遇!海外メディアGPS追跡も及び腰、日本は威厳ゼロ
日本国中に「帰れコール」が渦巻いている。
8日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が来日。同日夜、政府らとの5者会談に臨み、12日から東京都で緊急事態宣言が再発令されることを受け、1都3県の会場で無観客開催とすることが決まった。
それにしても「ぼったくり男爵」に対する国民の怒りは爆発寸前だ。5者会談の冒頭、この期に及んで「緊急事態宣言はどういうものか。五輪にどのような影響を与えるのか説明いただきたい」と高圧的に迫ったバッハ会長は来日直前、国連人権理事会でビデオメッセージを発表。「アスリートたちは平和と連帯の強いメッセージを世界に発信する」と強調した上で、「五輪は中立を保つ必要がある」と、大会への政治的介入を排除する意向を示した。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は「欺瞞と言うしかない」と、こう続ける。
■日本国民は眼中ナシ
「平和と連帯を重視する人間は緊急事態宣言が出るタイミングで来日しない。IOCは利権まみれで金儲けのことしか考えていない。何の根拠もない日本政府の『安心安全』に乗って五輪を強行する。バッハ会長はノーベル平和賞を取りたいようだが、ならば人間の生命と尊厳を尊重して中止にすると言うべき。日本国民がコロナで苦しんでいることなんて、全く眼中にないのです」
そんなバッハ会長を日本はVIP待遇で迎え入れた。超高級ホテルを用意し、「平和活動」をアピールしたいがために要望している広島の訪問もアテンドするというが、ふざけるにも程がある。国民には酒を出すな、飲むな、遠出するなといくつもの縛りをかけ、先日は五輪以上のコロナ対策をしていたという音楽フェスも中止に追い込まれた。一方のバッハ会長やIOC役員らの五輪貴族は超のつく特別扱いである。
さらに、大会期間中には、五輪関係者の他に約3万人といわれる海外メディアが大挙して来る。日本のコロナ対策において重大な懸案事項となっているこの海外メディアへの行動規制についても、日本は尻込みしつつある。
海外メディア関係者は野放しになる可能性
当初、組織委の橋本会長は入国後の14日間の隔離期間中に関して、「GPSなどにより厳格に行動管理する」と話し、違反者には国外退去も辞さないとしていた。しかし、ベルギーに本部がある国際ジャーナリスト連盟(IFJ)がこれを問題視する声明を発表すると、ニューヨーク・タイムズなど12の米メディアも組織委に対し、「報道の自由を侵害する」「外出、取材制限は感染拡大防止に必要な範囲を超えている」などと抗議文を送りつける事態となった。
そこで日刊ゲンダイは組織委に、米メディアの抗議についての見解を尋ねたところ、「取材の自由については尊重し、コロナ禍の状況に鑑み、ご不便をおかけするが、可能な限り円滑に大会に関係する取材が行えるようにする所存である。他方、現下のコロナ情勢に鑑みれば、非常に厳しい措置が必要であり、すべての参加者と日本居住者のために重要なことと考えている」としながら、GPSでの行動追跡については「GPS情報については、モニタリングするものではなく、本人が保有するスマートフォン端末に記録してもらい、必要な際に本人の同意を得て提示を求めるものである」と回答。米メディアに理解を求める返書を送ったという。
つまり、組織委がメディアの人間を常時監視するわけではないということ。宿泊先などに携帯を置いてコッソリと街へ繰り出す不届き者が現れても、それを阻止する手だてがなく、野放しになる可能性がある。
「報道の自由は大事な問題だが、海外メディアの中には『組織委が指定した宿泊施設は、予算の数倍で負担が大きい』とか、『高い金を払って取材に来ているのに規制されたら困る』といったわがままと受け取られても仕方がない意見もある。しかも来日から14日間の行動規制中においても、取材内容次第では競技会場など決められた場所以外での取材が許可されるとの話もあります」(放送関係者)
海外メディアを巡ってはすでに、メインプレスセンターと都心を結ぶ「ゆりかもめ」を使って買い物をしている者がいるとの目撃談が国会で話題になった。写真週刊誌の「FLASH」は五輪関係者が選手村近くのビアガーデンで酒盛りをしている写真を掲載。今後もやりたい放題の連中は必ず出てくるだろう。
■外圧でしか変われない
スポーツファンの吉川潮氏(作家)は言う。
「彼らは報道の自由ではなく、行動の自由が欲しいのでしょう。特に、欧米の民主主義国家の報道関係者は個人の自由が尊重され、政府に干渉されることを嫌う。ホテルに缶詰めにされて面白いはずがない。取材と称して吉原や歌舞伎町あたりに繰り出したいはず。俺たちだって遊ぶ権利はある、というのがホンネではないか。それに組織委などは及び腰になっている」
秋の衆院選のために五輪を政治利用したい政府・自民党は、国民そっちのけでIOCや海外メディアにヘーコラするばかりだ。
作曲家の三枝成彰氏は、日刊ゲンダイコラム「中高年革命」で「日本人は外圧でしか変われないのか」と題し、太平洋戦争の敗北の責任は「政府のみならず、“空気”に支配された国民とそれを扇動したマスコミにもあると思う」とした上で、こう記している。
「そこからさらに76年が経過した現在――。日本はIOCという新たな外圧によって、オリンピックを開催せざるを得ない状況に追い込まれている。(中略)巨大な利権で動くIOCに屈し、国の進む道を望まぬ方向に変えさせられようとしているのだ」
日本は諸外国からなめられる一方だ。