今日の新刊
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「とことん板谷バカ三代」ゲッツ板谷著
高卒で中途採用にもかかわらず老人ホームの園長になったオフクロが亡くなり、死後に闘病日記が発見された。七回忌の後に読んでみた。著者の妻と仲良くしていたので自分のことも書いてあると思ったのに、2カ月で2…
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「ルポ コールセンター」仲村和代著
電話で顧客の質問や苦情などに対応するコールセンターは、雇用情勢が厳しい地方への進出が歓迎されている。だが、オペレーターにとってはストレスが大きく、離職率は高い。電話1本の処理時間は7分で、目標は1時…
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「ヒトでなし」京極夏彦著
子どもを亡くし、妻と別れ、仕事も失った尾田慎吾はあてもなく歩いていて、自殺に失敗した塚本祐子と出会った。慎吾に「死にたいんなら死ねよ」と言われて、祐子は自分が死にたいわけじゃなかったことに気づく。コ…
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「だれもわかってくれない」ハイディ・グラント・ハルヴァーソン著、高橋由紀子訳
「そんなつもりで言ったわけじゃないのに」、と思うことはよくある。周囲の人に誤解されて、しかも誤解がなかなか解けない。なぜなら、最初の印象を変えるのは難しいからだ。 だから正しい第一印象を与える…
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「物欲なき世界」菅付雅信著
最近、雑誌やデパートが狙うものが変わってきた。扱うのはファッションなどの単なる商品ではなく、衣・食・住を単体でとらえずにひとつのライフスタイルとして提案するという方向性が出てきている。 その…
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「愛の顚末」梯久美子著
「蟹工船」を書いて警察に虐殺された小林多喜二の恋人、田口タキは、生涯、沈黙を貫いて2009年に死んだ。タキは父親が事業に失敗したため14歳で銘酒屋に売られ、酌婦をしていた。多喜二はまだ肉体関係もなかっ…
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「奇跡の出版人古田晁伝」塩澤実信著
古田晁は長野県筑摩地村に生まれた。生家は分限者だったが、放蕩で借金まみれになった父は、アメリカに渡りギャンブル・ハウスで財をなす。東大を卒業した晁は、中学時代からの同級生、臼井吉見にけしかけられて出…
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「実家の処分で困らないために今すぐ知っておきたいこと」高橋正典著
親が死んだ後、空き家となった実家を放っておくと、とんでもないことになる。今年5月「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたため、固定資産税がこれまでのなんと6倍に跳ね上がることになったのだ。…
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「抗争」江上剛著
メガバンク、ミズナミ銀行は2011年3月、東日本大震災の義援金の振り込みが集中したことからATMがシステム障害を起こし、全店で不稼働となった。 9年前、3つの銀行が合併したとき、旧太洋産業銀…
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「記憶の森を育てる」茂木健一郎著
人間の脳の「記憶」がコンピューターの「メモリー」と異なるのは、それが想起されたときにいきいきとした「経験」を呼び覚ますという点である。著者は大学院生だった頃、小津安二郎の「東京物語」を見て、その舞台…
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「機密解禁文書にみる日米同盟」末浪靖司著
著者は2005年から秘密指定を解除されたアメリカ政府文書を調査した。 すると、日本の憲法や法令に規制されずに米軍を自由に行動させる日米合同委員会という秘密機関の内情が見えてきた。外務省北米局…
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「人生下り坂最高!」 火野正平、NHKチームこころ旅著
火野はテレビ番組「にっぽん縦断こころ旅」で、視聴者の手紙に書かれた情景を目指して自転車で旅に出る。 東日本大震災の2年後、被災地を自転車で走ったら、多くの人から逆に「頑張ってください」と言わ…
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「18きっぷ」朝日新聞社、朝井リョウ著
18歳の朝井は第1志望の国立大学に落ち、浪人するか、第2志望の私立大学に進学するか、選ばなくてはいけなくなった。高校の3者面談で朝井は「浪人はしたくありません」と言った。「書きたい話がたくさんあるん…
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「ギブ・ミー・ア・チャンス」荻原浩著
木下はコンビニでバイトをしながらお笑い芸人を目指している。コンビニシリーズのネタを考えたりしているが、問題は相方が見つからないことだ。ある日、マンションの階段で女の子と正面衝突して、コンビニでもらっ…
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「草雲雀」葉室麟著
媛野藩馬廻り役栗屋家の三男・清吾は女中のみつを妻としたが、部屋住みの身で独立することもかなわない。そんなとき、片山流の秘技〈磯之波〉の使い手であることを見込まれて、幼馴染みで同じく部屋住みの山倉伊八…
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「東京者がたり」西村賢太著
著者が16歳で家を出て最初に住んだのは、日暮里のラブホテル街の中にある家賃8000円の3畳間だった。クーラーも扇風機もないうえに、窓を開けるとラブホテルの十数機のエアコン室外機が熱風を送り込んでくる…
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「春画入門 浮世絵の豊潤なる世界」
名浮世絵師たちによる名作・傑作を集め、オールカラーの大迫力で掲載。全体というよりは部分的にクローズアップしたカットが多い。密かに淫猥さを追求したい人、筆致の精細さを確かめたい人、春画初心者に薦めたい…
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「世代論の教科書」阪本節郎 原田曜平著
「団塊世代の歩いたあとは、ペンペン草も生えない」など、世代論が普及しているが、その世代を理解すれば世代間ギャップは超えられる。たとえば、団塊の世代は韓流ブームなど時代の新しい流れをつくってきた。そうい…
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「『身体』を忘れた日本人」養老孟司 C・W・ニコル著
ニコルが若いとき、カモを撃とうとしたら、その殺気を感じたのか、水に潜った。殺気のオーラの中には、においもあるのかもしれない。北極に行ったときはそういうにおいを発していなかったため、動物がニコルを怖が…
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「心の平安」アフメト・ムディ・タンプナル著 和久井路子訳
両親をなくしたミュムタズは従兄のイヒサンに引き取られる。ミュムタズはボードレールやオペラ「魔笛」など西洋の文化に引かれていたが、包括的なトルコ史を書こうとしていたイヒサンの講義を受けてトルコの文化に…