「私たちはどこまで資本主義に従うのか」ヘンリー・ミンツバーグ著 池村千秋訳
1989年、東欧の共産主義体制が倒れ始めたとき、西側諸国の有識者は資本主義が勝利したと言ったが、そうではない。共産主義体制の国々は政府セクターに権力が過度に集中し、バランスを欠いていたが、西側諸国は政府セクター、民間セクターなど多元セクターのバランスが取れていたためだ。だが、その後、民間セクターの力が強くなり、現在は政府と民間、あるいは右派と左派といった二元論で対立が激しくなっている。
社会がバランスを取り戻すためには、そこにNGO、社会運動などの第3の柱が加わった多元セクターになることが必要なのだ。経営学の巨匠が、目指すべき経済社会を解き明かす。(ダイヤモンド社 1600円+税)