「フェイバリット・シングス」村崎友著
六呂田録郎は推理作家。自分と同名の私立探偵が主人公の小説を書いている。
締め切りが迫ったある日、愛犬を散歩させているとき、女子大生っぽい女になぜかテレビの配線を頼まれた。その夜、突然、頭の半分がスキンヘッド、半分を赤く染めた髪の男が侵入してきた。娘の奈々が大ファンのバンドのギタリストだった。200万円のビンテージギターを盗まれたので取り戻してほしいという。俺って私立探偵だっけ? とりあえず翌日、テレビの配線に行ってみると、ドアを震わす大音響のエレキギターの音が……。(「蜂蜜とホームラン」)
作品の主人公と自分がいっしょくたになる頼りない男の物語6編。
(光文社 1500円+税)