「美麗島紀行」乃南アサ著
1544年にポルトガル船が台湾を〈発見〉したとき、そこにはマレー・ポリネシア系の部族が先住していた。多民族多言語の住民が暮らす台湾には統一政権がなかったのだが、その後、スペイン、オランダ、日本、中国などが台湾にちょっかいを出した。現在は客家が多く住む地方もあり、台北の市場には客家の料理に使う食材等が売られている。また、日本統治時代に建てられた神社なども残り、日本人にされた人々は今も美しい日本語を話す。
摩擦や反発はあっても、異界の者同士が触れ合うことで、独特の熱気が生まれたのではないか。
隣国なのにあまり知られていない台湾の素顔を描いた紀行文。(集英社 1700円+税)