今日の新刊
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「古典モノ語り」山本淳子著
平安時代の牛車にはグレードがあり、最も格式が高い唐庇車(からびさしのくるま)は上皇、皇后、親王らしか乗れなかった。四位以上の公卿らが乗る檳榔毛車(びろうげのくるま)は品格にふさわしく、ゆっくり走らせ…
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「母という呪縛 娘という牢獄」齊藤彩著
髙崎あかり(仮名・33歳)は両親が小学生のときに別居して以来、母との2人暮らしだった。 文系だったのに母に強制され、9年も浪人して医大の看護学科に入学。看護師になっても母は納得せず、さらに助…
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「チャイルド・デス・レビュー」フロントラインプレス取材班著
「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」は日本では「予防のための子どもの死亡検証」と訳されている。 日本の1~19歳の死亡原因の上位は「予防できる事故」であり、大人の過失が原因であることが多い…
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「孤高の血族」濱嘉之著
仙台の清光会中東北総合病院は創立150周年を迎えた。 婿養子に入った現院長の池田利宗がこの病院を日本でトップクラスに押し上げたのだが、次男の利雄は一族の落ちこぼれ扱いされていた。 そ…
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「あの日々」髙木國雄著
弁護士の平松達夫は40年ほど前、駅前で不当解雇を訴えていた松野自動車販売の労働組合委員長、山木茂と知り合った。 裁判所で研修を受けているとき、その山木が腰縄を打たれて連行されるのを目にする。…
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「発達障害の人が見ている世界」岩瀬利郎著
じっとしていられずうろうろしたり、ケアレスミスを連発したり、空気が読めないなど、人と付き合うのが苦手な人の中には、脳にある特性を抱えている「発達障害」の人が少なくない。 例えば「自閉スペクト…
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「なんとかしなくちゃ。青雲編」 恩田陸著
梯結子の祖母は、結子の頭につむじがふたつあるのに気づき、「なんぞ特別な才能でもあるんとちゃうか?」と考えていた。4歳のとき、いつも遊んでいた公園の砂場に見たことのない子どもが大勢いて、遊べないことが…
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「『ル・モンド』から世界を読む」 加藤晴久著
敗戦60周年の夏、フランスのテレビが、サイパン島陥落の際、米軍が説得工作で多くの日本人を救ったことを紹介した。「ル・モンド」では仏独共同経営のチャンネルが放送したドキュメンタリーを推奨している。 …
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「幕末の女医、松岡小鶴」門玲子編著
日本の民俗学の父・柳田国男、画家・松岡映丘の祖母、松岡小鶴は、江戸時代にまだ珍しかった女医だった。養子の夫を父に離縁され、父の死後、医業を継いだ。女性には珍しく多くの漢詩を残しているが、ナメクジと対…
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「空気を読んではいけない」青木真也著
「ONE FC」世界ライト級王者青木真也は小学生の頃、授業中もじっとしていられない子どもだった。担任に見捨てられ、独りで教室に取り残されたことさえあった。高校時代は寝技に執着して非難され、大学の柔道部…
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「人の樹」村田喜代子著
10万年も昔からサバンナに生えていたアカシアは、強烈な紫外線で仲間を失い、たった一本生き残った。砂丘を越えて転がってきた草の玉、タンブルウィードは「ずうっとここに張り付いているのね」とあざわらった。…
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「総理の影」森功著
安倍内閣で官房長官を務める菅義偉は、秋田県雄勝郡の出身である。父の和三郎は若いころ、満鉄に入り、関東軍が敗走した後、取り残された開拓団を無事、日本に帰国させた豪胆な人物だった。 戦後、イチゴ…
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「四百三十円の神様」加藤元著
牛丼屋のバイトの岩田は、西崎の代わりにシフトに入った。すると派手な女が入ってきて「西崎、いるでしょう?」。西崎が彼女の財布を持っていってしまったため、昨日から何も食べていないと言う。テーブル席で日本…
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「北高野球部 学生監督ガイ」本田 有明著
交通事故でケガをして野球部をやめた朝日奈凱はバッテリーを組んでいた蔵本大也に、野球部の監督になれと言われた。天堂北高の野球部は甲子園の強豪校だったが、不祥事が重なり、校長から県大会でベスト4に入らな…
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「世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと」マイケ・ファン・デン・ボーム著 畔上司訳
ドイツ生まれの著者は、OECDの報告書「幸福度の測定」で、34カ国中ドイツが下位なのが気になった。そこで上位13カ国へ調査の旅に。 幸福度世界第3位のアイスランドは、2008年の世界金融危機…
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「『正しさ』にふりまわされないコツ」和田秀樹著
一つのルートしか示さないカーナビに頼っていると、事故で道路が封鎖されていたら立ち往生してしまう。それと同じで、「いい大学を出て、いい会社に入る」という〈正しい〉人生のプロセスしか持たないと挫折したと…
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「実践・論語塾」安岡定子著
「人にして遠き慮り無ければ、必ず近き憂い有り(もし遠い先まで見通す深い考えがなかったら、必ず足元から思いがけない災いが起こってしまうものだ)」 新入社員は研修や毎日の業務に追われて入社前の意気…
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「恋するハンバーグ」山口恵以子著
佃島の商店街の一角にある〈はじめ食堂〉は、父がやっていた寿司屋を受け継いだ孝蔵が昭和40年に始めた洋食屋。帝都ホテルのメーンレストランの副料理長を務めていたので腕は確かだ。ある日、くたびれたジャンパ…
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「ラヴィアンローズ」村山由佳著
藍田咲季子は祖父の残した和風庭園をローズガーデンに造り替えて、夫の道彦と幸せに暮らしていた。趣味で始めたフラワーアレンジメント教室も好評で、大手出版社からムック本も出した。2冊目の本に取りかかったこ…
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「人工知能が金融を支配する日」櫻井豊著
人工知能が囲碁のトッププロを破った事件は社会に衝撃を与えたが、こういう技術進歩の影響を一番受けるのが金融業界だ。金融市場は既にロボ・トレーダーの独壇場になりつつある。ところが日本の金融機関は、ヘッジ…