「野火の夜」望月諒子著
銀行の両替機から血で汚れた旧5000円札が見つかった。翌日も翌々日も埼玉などで見つかり、その総額は200万円以上。
木更津で血まみれの5000円札が定期的に発見された雑誌の自販機を見張っていた警官が、停車した白い車の男に声を掛けると、男は脱兎のごとく逃げ去った。
雑司が谷の桐野真一の弁護士事務所に、以前、息子のことで相談にきたことがある森本賢次が訪れた。木更津で警官に追われて逃げたのは、森本の息子、恒夫だという。あの血まみれの5000円札は、森本が25年前に九州行きの船の中で盗んだものだが、それを恒夫が持ち出したと。
女性ジャーナリストが25年前の殺人放火事件を追うクライムノベル。
(新潮社 2090円)