「ワンダーランド急行」荻原浩著

公開日: 更新日:

 定例会議があるので、野崎修作はいつもより30分早く出かけた。

 上りの通勤快速が来るまで時間調整で停車中の下りの車内に座っていたら、電車が発車してしまった。しかも急行だ。流れ去っていく車窓の風景を見ているとき、「脱出」という言葉が頭に浮かび、終点まで行ってみようと思いつく。

 終点の改札の前に山があったので登ることに。トンネルを抜けて草原に出たら土と緑と太陽の匂いがした。自分が目指していたのはここだったのか。

 自宅のある駅まで帰ってきたら、違和感があった。駅前にモニュメント時計なんてあったっけ?家に着いたら、玄関の鍵が開かない!

 いつもと違う日常に入りこんでしまった男を描くミステリアスな物語。

(日本経済新聞出版 2090円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出