「『集団の思い込み』を打ち砕く技術」トッド・ローズ著 門脇弘典訳
「『集団の思い込み』を打ち砕く技術」トッド・ローズ著 門脇弘典訳
1928年、米国シラキュース大学で社会心理学を研究していたリチャード・シャンクは、イートンに住む人々が教会から課された社会的禁忌をどう考えているか調査した。彼らは日曜に劇場に行ったり、絵札を使うトランプ遊びをしたりするのは許されないと答えていたのだが、自宅ではトランプをしていたのだ。住民の77%は、自分はトランプをやるが、ほかの人は禁忌に従っているはずだと答えた。自分が多数派であることを自覚していなかったのだ。
集団に属するほとんどの人が、内心では否定している意見を、ほかの人が許容しているという「集団的幻想」にとらわれている。現代のアメリカでもそういう「自己不一致」に陥っている人は多い。社会の同調バイアスに対抗するためには、「自己一致」がかけがえのない美徳だと理解する必要がある。
「個性学研究所」の心理学者が、「みんな同じ」という意識からの脱却法を教える。
(NHK出版 2640円)