「人類初の南極越冬船」 ジュリアン・サンクトン著、越智正子訳
1926年、レヴンワース刑務所に収監されている医師クックに面会人があった。彼は高名な探検家で、2人はかつてベルジカ号で南極探検に行った仲間だったのだ。
オランダから独立してまもないベルギーは、1897年、地質学上のデータを集めるために、蒸気式捕鯨船ベルジカ号で南極へ探検隊を派遣した。
だが、これは国家的な取り組みというより、南極探検隊隊長、ジェルラッシュの執念によるものだった。スウェーデンの探検家、ノルデンショルド男爵の南極探検が頓挫したのを知り、出資を募って実現にこぎつけたのだ。8月にオーステンデを出港したが、翌年元日、船は暗礁に乗り上げて身動きがとれなくなった。
座礁と原因不明の病と闘いながら南極を目指した男たちの記録。 (パンローリング 2200円)