「近代おんな列伝」石井妙子著

公開日: 更新日:

「近代おんな列伝」石井妙子著

 高場乱(たかばおさむ)は1831年、福岡藩医、高場正山の次女として生まれた。乱の資質を認めて、正山は医学と漢学を教え、藩に男子として届けを出して10歳で元服させ、帯刀、男装の許可を得た。乱は医院に興志塾を併設、型にはまらない生き方を奨励する。

 塾生のひとり、頭山満は後に玄洋社を設立、「アジア主義」を提唱した。それは当時、アジアから搾取していた欧米諸国に対抗して、東洋的な価値観を共有するアジアの連帯を目指すもので、乱もこれを支持した。

 ほかに、15歳で明治天皇の皇后(後の昭憲皇太后)に漢籍を進講し、後に自由民権運動家として男女同権を訴えた岸田俊子(中島湘烟)など、近代に活躍した36人の女性を紹介する。 (文藝春秋 1980円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇