上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
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心房細動や貧血が「心不全」の原因になるケースもある
近年、日本でも増えている「心不全」は病名ではなく、心臓の働き=ポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなっている病態を指します。放っておくと徐々に悪化して命を縮めてしまうため、早い段階で進…
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心不全は原因となる病気をコントロールして悪化を食い止める
高齢化が進んでいる日本では「心不全」の患者さんが増えています。毎年1万人ずつ増加しているというデータもあり、危惧されています。 心不全というのは病名ではなく、心臓の働き=ポンプ機能が徐々に低…
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「噛む力」は心臓にかかる負担の大きさに関係している
噛む力=咬合力が弱い人は心臓疾患になりやすい、という研究報告があります。 国立循環器病研究センター、新潟大学、大阪大学の共同研究チームが、大阪府の吹田市民を対象としたコホート研究を解析したも…
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「出会いに感謝」「苦労と握手」若手医師に伝える心構え
前回まで若手医師の手術指導についてお話ししてきました。 若手が手術に臨むには、基本的な手技と局所解剖の知識を身につけることが大前提なのはもちろん、メンタルとフィジカルのコンディションをしっか…
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厳しい指導は正面から向き合っていないとハラスメントになる
前回お話しした若手医師の手術指導について続けます。 基本的な手技と局所解剖の知識に問題がない若手はスタッフとして手術に参加させ、難しくない処置を実践させます。それも適切に行えていれば、次は指…
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外科医には心身の調整とコミュニケーション能力が欠かせない
若手医師への手術指導は、まず基本的な手技と局所解剖についての知識をしっかり習得できているかどうか点検するところから始まる。前回はそんなお話をしました。 私がまだ若手だった時代、こうした技術や…
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若手医師の手術指導はまず初歩的な手技の習得度を把握する
前回、千葉市立青葉病院で起こった医療事故について取り上げました。2019年11月に左腕の肘関節手術を行った際、執刀した当時6年目の担当医が尺骨神経をメスで剥離する過程で、誤って神経を切断してしまい、…
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「医療安全」に対する認識不足が医療事故につながる
今月11日、千葉市立青葉病院が医療事故を起こしたと発表しました。2019年11月、自転車で転倒した50代患者の左腕の肘関節手術を行った際、執刀した当時6年目の担当医が尺骨神経をメスで剥離する過程で、…
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コロナ禍で運動量が激減していたら「腹式呼吸」で心臓を守る
心臓にとって適度な運動が有益であることはよく知られています。 今年2月にも、デンマークの研究で「運動によって突然死のリスクを低くできる」と報告されています。1週間の総エネルギー消費量に基づい…
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デバイスを使うほど高度な医療を誰もができるようになるが…
前回、僧帽弁閉鎖不全症に対する「マイトラクリップ」が、治療の選択肢としてガイドラインに加えられたお話をしました。マイトラクリップは、先端にクリップの付いたカテーテルを下肢の静脈から挿入して僧帽弁に到…
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ガイドライン改訂「マイトラクリップ」について思うこと
昨年、日本の「弁膜症治療ガイドライン」が改訂されました。中でも、僧帽弁閉鎖不全症に対する治療が大きく変更されています。 僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の中にある僧帽弁がうまく閉じなくなって血液が逆…
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心房細動のほとんどは「左心房」が原因で発症する
これまで“おまけ”として考えられていた心臓の右心室が心臓突然死と深く関わっていることがわかり、注目されていることを前回お話ししました。今回は「心房」を取り上げます。 心臓は「右心房」「左心房…
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“おまけ”だった右心室が突然死に関係しているとわかってきた
近年、心臓突然死を招く原因として「右心室」が注目されています。 心臓は「右心房」「左心房」「右心室」「左心室」という4つの部屋に分かれています。それぞれの部屋は壁で仕切られ、右心房と右心室、…
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心臓マクロファージを利用した不整脈の治療は期待できる
突然死の原因になるような重症な不整脈を自分の細胞で治せるようになるかもしれません。 今年3月、東京大学、千葉大学、日本医療研究開発機構の研究グループが、「心臓の中に存在している免疫細胞のひと…
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心臓病の人はワクチンより感染で生じるリスクの方が高い
新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりました。国が決めた優先順位にしたがって、医療従事者に続いて高齢者でも接種がスタートしています。 その次に優先接種の対象になるのが「基礎疾患のある方」で…
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最先端の心臓手術であらためて痛感する「準備」の重要性
ここ3回ほど、最近の心臓手術についてお話ししました。検査機器や医療材料の大幅な進化によって、以前であれば手術できなかったり、手術できても身体機能の一部を失ってしまうようなケースでも問題なく手術できる…
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進化する新たな技術を手術に応用できないか常に考えている
前回、60代の男性患者の手術についてお話ししました。弓部大動脈瘤でこぶが大きくなった動脈を人工血管に交換したうえ、3カ所の冠動脈バイパス手術をいっぺんに行ったケースです。 首の頚動脈に人工心…
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大動脈瘤に加えほかの手術を同時に行うケースが増えている
近年、増加している大動脈のトラブルの中に「弓部大動脈瘤」という疾患があります。動脈硬化などによって大動脈の一部が膨らんでできたこぶ=大動脈瘤が、大動脈弓部と呼ばれる部分にできたものを指します。 …
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ハイブリッド手術は高齢患者の夢をかなえることができる
心臓手術の進化が患者さんの夢をかなえる――。先日、あらためてそう感じた手術を実施しました。 患者さんは88歳という超高齢の男性で、狭心症と大動脈弁狭窄症があり、全身も衰弱して生活に大幅な制限…
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活動的で質の高い生活にはより良い「視力」が欠かせない
今年の正月休みに右目の手術を受けて実感したのは、より質の高い生活を送るためには「しっかり見える」という状態が欠かせないということです。 もともと私は強度の近視で、老眼も重なった40代後半から…