心臓にトラブルを抱えている人にサウナはおすすめできない
前回まで、入浴と心臓の関係についてお話ししてきました。降圧剤を飲んでいる人、“隠れ弁膜症”の高齢者、貧血がある人はヒートショックに注意が必要です。ただ、入浴は心臓にとってプラスに作用するので、入浴をうまく利用することが大切です。前回お話ししたリラックス効果だけでなく、適切な入浴は、動脈や静脈といった全身の血管が拡張し、少ない力で多くの血液を循環させることができるので、心臓にかかる負担が軽減されます。
ただ、そうしたプラス効果を享受するためには、「ガマンをしない」ことが鉄則になります。たとえば、42度以上の熱い湯に30分近くつかっている人もいますが、この場合、ほとんどの人はお湯の熱さや時間の長さに苦痛を感じるはずです。42度以上のお湯に10分以上つかっていると、高温により一気に交感神経が緊張して心臓への負担を増し、体が湯温になれてくると今度は逆にリラックスするための副交感神経にスイッチが入ります。心拍数と血圧の急上昇から急降下が起こることで、心臓自体にダメージを与えます。つまり、「ガマン」は、「体が危ない」というサインといえるのです。人によって、熱さや長さに対する感じ方は違います。ですから、「ガマンしなくてもいいかどうか」が、その人にとって適切な入浴を判断する目安と考えていいでしょう。