「貧血」の人はヒートショックを起こしやすい素因がある
前回、冬の入浴で注意すべき「ヒートショック」について取り上げました。寒い環境からいきなり熱い湯につかると急激な温度変化によって血圧の急激な上下動が起こり、心筋梗塞や大動脈解離、不整脈、脳卒中といった疾患を引き起こす現象です。中でも、高血圧で降圧剤を服用している人、“隠れ弁膜症”の高齢者は、ヒートショックを起こしやすい“素因”があるので、とりわけ気を付ける必要がある、というお話をしました。
ほかにも、日頃から慢性的に貧血がある人は要注意です。貧血=血液中の正常な赤血球の量が少なくなる状態になると、心臓の拍動数が増加する「心悸亢進」という症状が表れます。貧血による体内の酸欠状態をカバーするため、心臓がフル回転して少しでも多く血液を循環させようとするのです。その分、心臓には大きな負担がかかり、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症では心不全といった心臓疾患を発症しやすくなります。
こうした慢性的な貧血で心悸亢進がある人は、熱い湯につかって体温が急上昇すると、急激に血圧が低下したり、心房細動をはじめとした不整脈が起こるケースがあるのです。