イスラエルで生まれたドローンの発想
Amazon.comは、商品の配送時間短縮のため「ドローン」と呼ばれる小型無人飛行機での配送サービスを計画中であると発表。
早ければ今年中に実現するといわれている。日本でも、活火山上空の観測や福島第1原発の調査などに用いられている。
しかし、このドローンはもともと軍事用に開発された技術だった。リチャード・ウィッテル著、赤根洋子訳「無人暗殺機ドローンの誕生」(文藝春秋 2000円+税)は、いまやアルカイダやイスラム過激派を、搭載するミサイルで暗殺するまでに至っているドローンの開発史。その誕生と変貌の歴史が、克明につづられている。
無人飛行機は、「Unmanned Aerial Vehicle」(無人航空機)の頭文字を取ってUAVとも呼ばれる。UAVの発想が生まれたのは、イスラエルだ。1973年の第4次中東戦争のさなか、当時36歳だったエイブ・カレムという人物が、囮のロケット弾の開発を命じられる。彼はイスラエル空軍のエンジニアチームを率いて戦闘機を改良し、イスラエル軍最高賞である防衛賞を3度も受賞していた。