「はく・すうの法則」有吉与志恵著
私たちが1日に行う呼吸はおよそ2万回。これを正しく行うだけで、ポッコリお腹や猫背を解消し、自律神経を整えることもできると本書は解説している。
息を吸うときは横隔膜が下がりお腹が膨らむ。息を吐くときには、横隔膜が上がり肺が押し上げられることで空気が外に出ていく。そして、しっかりと深い呼吸ができていると横隔膜だけでなくさまざまな筋肉が使われる。例えば、お腹を引き締めて横隔膜を押し上げる腹横筋、背骨を支える多裂筋、お腹の圧力を下から支える骨盤底筋群などだ。
ところが、呼吸に悪い癖がついていると、これらの筋肉はうまく働いてくれない。猫背の人の場合、胸が動きにくく肩が内側に入った状態で呼吸をするため、横隔膜が上がりにくい。ポッコリお腹の人は、腹横筋の働きが弱く肋骨の下が動きにくい状態で浅い呼吸をしている。そして空気を吸うときにお腹をへこませる癖のある人は、吐くときに横隔膜が上がりにくくなり、呼吸のリズムが整わずに自律神経にも悪影響を及ぼす恐れがあるのだという。
それでは、筋肉を上手に動かす正しい呼吸を身に付けるにはどうすればよいのか。それは、息をしっかりと吐き切ること。深呼吸というと息を吸うことばかりを考えてしまうが、肺の空気を出してしまわないことには、深く吸うことは不可能だ。本書では、両手でウエストをはさみ、「は! は! は!」と声を出しながらお腹をへこませるなど、お腹の筋肉のトレーニングにもなる息の吐き方を紹介。呼吸が変わると体幹が整い、姿勢がよくなったりウエストが細くなるなどの効果も期待できるという。
正しく行えば、呼吸をするたびに健康に近づく。今日からでも始めなければ。
(高橋書店 1200円+税)