「牛乳のワナ」船瀬俊介著
牛乳は体によいと信じてきた人には、本書は戦慄の内容である。牛乳は飲めば飲むほど体に害を及ぼし、各種のアレルギーや動脈硬化、そしてがんも招くと警告しているのだ。
そもそも牛乳は、子牛以外の動物が飲むようには作られていない。体重が1日に1キロも増えて急成長する子牛にとっては完璧な飲み物だが、人間の子供が飲めば臓器への負担となる。まして、成長の止まった成人がこのような“成長促進物質”を飲み続けることは致命的な過ちだと本書。
オランダの乳がん患者は、韓国やタイの5倍も多い。そして、牛乳・乳製品の消費量と照らし合わせてみると、韓国やタイでは消費量がゼロに近い一方、オランダでは1日800グラム超も取っていることが分かっている。実は乳がんの増加率と重なるのが男性の前立腺がん。牛乳・乳製品の過剰摂取は大きなリスクとなるわけだ。
実際、牛乳タンパク質であるカゼインをマウスに与えた実験では、カゼインの量を2倍与えたマウスでは、がんが9倍にも増殖する結果となっているという。
心筋梗塞や脳卒中の引き金となる動脈硬化にも、牛乳の影響が考えられる。市販の牛乳は、ホモゲナイザーという機械を使い脂肪球を細かく砕く処理が施されている。この高速撹拌作用で乳脂肪は空気中の酸素と反応し、過酸化脂質つまり“錆びた脂”となる。そして体内で血管内壁に付着し、動脈硬化を引き起こす恐れがあるのだ。
テレビ番組のスポンサーには乳製品メーカーが名を連ねており、真実が報道されることは期待できない。牛乳や乳製品は厳禁とは言わないが、体内でどのように作用するのか、その真実を知った上で口にしたいものである。
(ビジネス社 1600円+税)