「100歳まで自分の歯を残す4つの方法」齋藤博著、木野孔司監修
年齢を重ねても歯を失わずにいるためには、毎日の丁寧なブラッシングが大切。しかし近年、それだけでは歯を守りきれないことが分かってきた。どんなにきれいに磨いても、上下の歯を常に接触させている癖があると、歯に小さなダメージが蓄積され、弱るスピードが加速。歯の土台である歯槽骨に負担がかかり歯が抜けやすくなったり、歯根が折れてしまったり、異常な速さで歯周病が進行するなど、さまざまな弊害をもたらすのだという。
人は通常、口を閉じていても上の歯と下の歯は接触しないのが正しいポジジョンだ。歯が触れるのは会話、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)時のみで、トータルでも1日当たり20分以内とされている。しかし、上下の歯を常にくっつけている癖が付いている人は、一日中歯に負担をかけていることになる。
このような癖は、歯科の専門用語でTCH(Tooth Contacting Habit)=上下歯列接触癖と呼ばれている。試しに、上下の唇を軽く接触させ、その状態で上下の歯が接触しないよう1~2ミリ離してみよう。この状態で違和感があるなら、TCHの可能性がある。
TCHは自覚症状もなく行われているため改善はなかなか難しい。本書では、臨床心理学で行われる行動療法を取り入れた方法を紹介している。まず、身の回りに「歯を離す」「力を抜く」と書いた紙を、少なくとも10枚は貼っておく。これを目にするたびにハッと気づいて力を抜くことを続けていると、やがて歯の接触刺激があるだけで力を抜けるようになり上下の歯を離しておけるようになるという。
他にも、歯ブラシがあたりにくい部分の正しい磨き方や、頼れる歯科医選びのコツなども紹介。自分の歯を残したいなら、すぐに始めよう。 (講談社 1400円+税)