「ピオッピ式長生き術」アシーム・マルホトラ、ドナル・オニール著 白澤卓二監修、府川由美恵訳
日本は世界に名だたる長寿国だが、同じく長寿で注目されているのが、イタリア南部にある人口200人ほどのピオッピという村。地域の平均寿命は、何と男女ともに87歳で、疾病を抱える住民も極めて少ない。さらに、2010年にユネスコ無形文化遺産に登録された、「地中海ダイエット発祥の地」であることでも知られた村なのだ。
本書では、ピオッピの人々の健康長寿を支える食文化について紹介。単なるダイエット法ではなく、おいしく食べて予防医療にもつながる食品や食べ方を解説している。
基本ルールはいくつかあるが、どれも我慢を強いるものではない。例えば、1日3回満腹を覚えるまで食べていい、軽くひとつかみ分のナッツ類を毎日食べる、大さじ2~4杯のエクストラバージンオリーブオイルを毎日摂取するなどだ。食生活改善でありがちな“食べない”ことよりも、体によいものを十分に“食べる”ことに重きが置かれているのが特徴的だ。
もちろん、避けるべき食品もある。その筆頭は、添加糖分と精製炭水化物。一方で、乳製品や卵などは毎日取るべき必須食品とされている。特に卵は、週に最低でも10個を目安にするべきだという。長年にわたり悪者扱いされてきた卵だが、現在では心血管疾患の発症リスクを低下させることが分かってきた。むしろ、必須アミノ酸やビタミン類を豊富に含み、ピオッピ式でも欠かせない食材となっているのだ。
本書では、エクストラバージンオリーブオイルやヨーグルトをたっぷりと使ったキュウリとアボカドの冷製スープなど、ピオッピ式の食生活を実行するためのレシピも多数紹介。おいしく食べて健康長寿を目指せるなら、こんなにうれしいことはない。 (わかさ出版 1480円+税)