来年こそはしっかり休みたい!時短仕事術本特集
「捨てる時間術」若杉アキラ
「働き方改革」の実施でしっかり休むことが是となった現代社会。しかし、「仕事は山積み、そんなのムリ~!」と嘆く諸兄も多いだろう。今回は時短仕事術本を紹介。ちょっとした習慣や考え方で時短はかなう。この年末、読んでしっかり対策を立てよう。
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時短といえば、いかに効率よく物事を進めるかという視点に立ちがちだが、本書の時間術は「やりたいことを優先するため」に、「時間の無駄を省く」という発想。実はやりたいことを優先すると、「やるべきこと」と思い込んでいた「やらなくてもいいこと」がそぎ落とされるのだという。
たとえば、「バランスが大事」と言われるが、仕事や勉強で大事な局面を迎えた時は「一点集中型」になったほうが望む結果を得られる。
どんな時でも「バランス」に縛られていては、結局は両方を失うことになる。
また「仕事の切り替え」も捨てるべき習慣。仕事の切り替えは集中力の切り替えでもあり、再度集中するのに時間がかかるからだ。ほか「予定の詰め込み」「メールの即レス」「人に期待」など、時短につながる捨てる習慣70例を紹介。
(日本実業出版社 1400円+税)
「時短の科学」内藤耕著
多くの企業が人手不足と長時間労働の解決策として効率化を図ろうとしている。しかし、時短は結果であり、その結果を実現するには生産性向上という方法を取らなければならない。
たとえば、サービス業では従業員の作業時間を時短しても、客の来店がなければ売り上げにつながらない。事前準備とサービスのタイミングがズレるならこれはムダになる。
そうした業務のムダをなくすためには、「顧客の満足度を上げる業務」「削減するべき業務」「排除すべき業務」に分類して現状の「見える化」が重要。感覚ではなく“データ”という客観性に照らし合わせることで改善点がわかり、再現性が高まれば生産性がアップする。「忙しい時間帯でなく暇な時間に着目」「会社の戦術を明確にする」など、時短実現を可能にする6ステップ14アプローチを紹介。
(日経BP 1500円+税)
「時間術大全」ジェイク・ナップほか著 櫻井祐子訳
忙しい人は多いが、原因は行動習慣の「初期設定」が間違っているからだという。たとえば「メールの返信は迅速に」「会議は30分」などだ。ここを見直し、4つのステップを習慣化することで時間を自由にデザインできるようになる。
まずは一日の最初にやるべきは「本日の重要事項」を考えること。時間の目安は90分以内で、いつやるかも決めてしまうといい。そして、実行時間が来たらスマホの通知をオフに。気を散らすものを遮断して、注意力を高めることが大切だ。集中するために、一日の中で歩き回る時間も組み込みたい。数分歩くだけで体が元気になり、仕事の効率が上がる。夜は、気付いたこと、工夫できそうなことなどを書き留め、一日の振り返りをする。
グーグルやユーチューバーの多忙デザイナー考案の新時代の時間術。
(ダイヤモンド社 1600円+税)
「仕事が速くてミスがない人は机に何も置かない。」中野清人著
あるデータによると、サラリーマンが仕事中に探し物をする時間は、年に150時間だという。
そんな時間の無駄をなくすには、何をおいてもまず、デスクや身の回りの整理をしておくことが肝心だ。理想はモノのないデスクだが、それを阻むのが紙類である。
書類など紙類はA4ファイルに入れて見出しラベルを貼り、ファイルボックスに立てて収納するといい。最新のものから手前に配置しておけば、捨てる時も奥のファイルから検討すればよく、スムーズだ。
一方、身の回りでごちゃつくモノの筆頭はカバンだが、レギュラーグッズに住所を与えることで解決する。
ペンケースは内部の大きなスペース、定期入れはサイドポケットなどと決め、使ったら元の位置に戻すことで紛失や探す手間がかからなくなる。
ミスを減らし、生産的な仕事時間を増やすための片付け術を伝授する。
(総合法令出版 1300円+税)
「仕事の『見える化』『記録術』」谷口和信著
何でもすぐに記録して「見える化」することで仕事のヌケや忘れがなくなり、結果「時短」が実現するという。
見える化の基本は、①「すぐ書く」②「見えるところに置いておく」③「予定から約束まで、思いついた順番にすべて書く」の3つ。書き出しておけば「何か忘れてないか?」という心理負担が減り、仕事に集中できるのだ。
一方で、行動の見える化も重要だ。一度、すべての行動を記録してみると、作業時間に対する見込みの甘さに気付くだろう。会議や議事録作成など何度も繰り返す作業時間を正確に予測できるようになれば、計画も立てやすくなり行動にも余裕が生まれる。
ほかにも「何分かかるか」でなく、「何分かけられるか」という時間の捉え方や時間割利用法など、時短と成果が両立する記録術を開陳。
(明日香出版社 1500円++税)