来年はもっとリッチに!お金の本特集
「得するお金のスゴ技大全」丸山晴美著
お金に関するシビアなニュースが何かと多い年末期。自己防衛のためにも、今後どうお金と付き合っていくか思案中の方も多いはず。そこで今回は、文豪とお金、お金の消滅、人生に必要なお金の額、共感資本社会、得するスゴ技をテーマとした5つのお金本をご紹介!
◇
電子マネーやキャッシュレスなどに代表されるように、工夫次第で日々のコストに大きな差が出る時代になっている。従来行われてきた1円単位の節約術に走っているだけでは、知らない間に損をしている可能性が大きいのだ。本書では「買い物術」「届け出」「固定費」「食費」「外食・レジャー費」「投資」の6つのテーマで、お得なスゴ技を紹介。
たとえば、スーパーで買い物するならポイントよりもお得な割引を選ぶ、ユニクロの最新アイテムは特別無料商品モニターになってゲットする、NHKの受信料は生計同一なら家族割で半額にする(学生、単身赴任)、通販サイトで規格外野菜を無料でもらう、USJの公式ファンクラブに入会して割引価格で利用するなど、目から鱗のワザが満載。節約の情報戦に乗り遅れないためのツールとして、ぜひフル活用すべし。
(宝島社 800円+税)
「共感資本社会を生きる」新井和宏、高橋博之著
電子地域通貨の実証実験を始めた起業家の新井氏と、食をテーマに地方と都市が共生する社会を目指す高橋氏が、これからの新しい資本主義社会について語り合う対談本。
お金のためになることをビジネスと呼び、お金にならない行為をボランティアと呼ぶ昨今、今や社会のためにならないことがお金になり、社会のためになることがボランティアになっている。ならば、人の幸せからお金のかたちを逆算すれば、未来のお金のかたちが見えてくるのではないか。共通認識を持つ2人が導き出したキーワードが共感だ。人と人が分断されるのではなく、つながり合うことで共感し合う仕組みをそれぞれの分野で実現させていけるのではないか。
お金と引き換えに何かを消費するという在り方を超える、新社会への萌芽が垣間見える。
(ダイヤモンド社 1600円+税)
「お金本」左右社編集部編
どんな文豪であれ、お金の呪縛からは逃れられない。才気あふれるペンを支えるのはソロバン勘定だ。彼らの残した文章をたどれば、お金と格闘した日々が見えてくる。
本書は、二葉亭四迷、北原白秋、三好達治、森茉莉など96人の文豪たちが残したお金にまつわるエッセー、日記、手紙などを集めたアンソロジー。
キュウリを食べて飢えをしのぎ金が入ると酒を飲む種田山頭火、文筆一本で机まで売る羽目に陥った小川未明など、カツカツな生活とプライドとの攻防戦が見てとれる。1カ月に1000枚の原稿を書いた大量生産の横綱・中村武羅夫や月当たり3枚しか書かない少量生産の横綱・志賀直哉を記載した番付表のほか、身も蓋もない文壇人所得番付も必見。巻末掲載の草野心平「火の車」のうたを唄えば、貧乏なんて怖くない?
(左右社 2300円+税)
「人生にお金はいくら必要か〈増補改訂版〉」山崎元、岩城みずほ著
金融審議会から「老後に2000万円必要だ」と試算する報告書が発表され、大騒ぎになったことは記憶に新しい。本書は、2000万円問題を我々はどう理解すべきなのか、老後の資産寿命を延ばすに当たって割り当てるべき正しい方法とは何か、さらに計画的な貯蓄でお金を適切に運用する方法など、今知っておくべき老後資金問題の回答を網羅した人生設計本だ。必要な貯蓄額の計算式や、立場の違うそれぞれのケーススタディー、効率よく確実にお金を増やすための資金運用の肝などが掲載されている。
必読なのは、巻末の「お金運用10大注意事項」。特に「毎月分配型など頻繁に分配金がある投資信託」「ラップ運用」「貯蓄性の生命保険(特に外貨建て)」は3大ダメ商品として、絶対に手を出すなと警告している。
(東洋経済新報社 1400円+税)
「2049年『お金』消滅」斉藤賢爾著
硬貨や紙幣などの物理的なお金が、電子マネーやキャッシュレス決済の本格的な洗礼を受けている2019年末。こうした流れが行き着く先にどんな世界が待っているのか。早稲田大学大学院教授で、デジタルテクノロジーによるお金の変化の研究をしている著者が、いくつかの可能性を提示しているのがこの本。
たとえばAIで多くの仕事が消滅した結果やってくるベーシックインカム導入の世界。実はこの場合、中央から支給された範囲で生きろと言われているのと同義になりかねず、ある意味、奴隷と変わらないと著者は言う。
しかし、別の道として消費社会を卒業してネットワークでつながり合い、お互いの能力を贈り合う贈与経済へと発展する可能性も示唆。
望む未来をどう選択するのかという問いを読者に投げかけている。
(中央公論新社 820円+税)