「新装版 楽しい昆虫料理」内山昭一著

公開日: 更新日:

 2050年までに世界の人口は100億人に達すると予測されている。そこで問題となるのが食料不足。大規模な農地拡大は壊滅的な森林破壊につながる恐れがあり、家畜の腸内発酵などによって発生するメタンガスは温室効果ガスの大きな要因だ。

 こうしたことから2013年、国連食糧農業機関(FAO)は昆虫食を推奨する報告書を発表した。昆虫は家畜に比べて温室効果ガスの排出が少なく、食品残渣(ざんさ)などの廃棄物で育つので環境汚染の削減につながり、飼育のための土地も狭くて済む。食料としても優秀で、タンパク質やビタミンB群、食物繊維やミネラルも豊富だ。

 そして、持続可能な社会づくりのための17の目標として掲げられたSDGsのうち、昆虫食は実に8つの目標に対して貢献が可能だ。そんな大注目の昆虫食について、本書では材料調達法や“旬”、食べてはいけない有毒な虫などについて解説しながら、昆虫を使った79のレシピを紹介している。

 秋にお勧めなのが「子持ちカマキリの南蛮漬け」。これからはカマキリの恋の季節で、お腹に黄色い卵が詰まったメスカマキリも増えてくる。そんなカマキリを熱湯に通し、卵を残して内臓を抜き取ったら180度の油でカラリと揚げ、南蛮酢に漬ければ出来上がり。他にも、「ヤゴとクレソンのアンチョビ風味サラダ」や「アリのトムヤムクン」「タガメ風味のタルト」など、バリエーション豊富なレシピが満載だ。

 ちなみに、まずい虫のワーストは強烈な腐敗土臭のするカブトムシの幼虫、ベストワンはコクと甘味がありバターのような食感のカミキリムシだと本書。地球の未来に貢献しながら、しかもおいしい昆虫食。ぜひ試してみては。

(ビジネス社 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」