<133>“無罪請負人”事務所出身の渥美陽子弁護士に相談を持ちかけると…
その頃に出会ったのが渥美陽子弁護士である。
もともと面識はなかったが、愛媛で発生した民事事件の裁判を取材した際に被告側の代理人弁護士を務めているのを知り、相談を持ちかけることにしたのだ。この裁判の原告側の弁護士は早貴被告と同じで、ドン・ファン事件も同じ構図に持ち込もうと考えたのである。
ネットで調べると彼女は無罪請負人として有名なH弁護士の事務所にも所属していたことがあり、2年前に独立して自らの事務所を構えていることが分かった。
「私はドン・ファン事件のことを追っている者です。お会いしたいんですが」
電話で連絡を取ると、「すぐにお会いしましょう」ということになった。大して説明をしていないのに、彼女の決断は速かった。2、3日後に私が指定した小料理屋で会うことになったのである。
私は30代を少し越えた編集者のNクンを連れて店に向かった。彼は週刊現代の編集者当時から私の担当になり、私といろいろな案件を記事にしているので気心は通じている。ドン・ファンが亡くなる前から担当になっていて早貴被告とも面識があり、ドン・ファン事件にどっぷり首を突っ込んでいるから、いちいち説明する必要もないので気楽な仲であった。