女優・柊子の転機 NHK朝ドラ出演の波に乗り切れず「私には覚悟が足りなかった」

公開日: 更新日:

 人生には転機のタイミングがある。女優の柊子(30)はNHK朝ドラ「まれ」(2015年上期)での演技が注目を浴びたが、女優として大きくジャンプアップする波に身をゆだねられず、長らく後悔の念にかられる日々を送っていたという。

 そんな悶々とした日常で一筋の光となったのが執筆活動だ。この度、自身はじめての小説「誕生日の雨傘」(文藝春秋)が刊行となり、筆を走らせた当時の状況を振り返るとともにずっと秘めてきた胸の内を明かした。

  ◇  ◇  ◇

 本のタイトルにもなった第1編の「誕生日の雨傘」は、『オール讀物』(2017年12月号)に短編として掲載されたものだ。同作を軸に新たに3編を書き下ろし、全4編の短編小説で構成された同作の主人公たちは、14歳の中学生時代から描かれている。

「小説を書くきっかけをくださった編集の方から『自分よりも年齢が下の子を描く方がきっといいよ』とアドバイスをいただいんです。自分より年齢が上の、未知の世界を描くより、自分が経験したり通ってきた道を描く方が主人公たちの気持ちに寄り沿えるんじゃないかって。私は中学生の頃、女の子同士のいざこざに悩んだりしました。学校が私のすべてで、学校生活がうまくいかなければ自分はひとりぼっちなんじゃないかって本気で思ったり……。その時に感じた匂いや景色は今も鮮明に覚えています」

 ーーその匂いや景色というのは?

「『じめっと、じとっとした』感じです。中学時代の私はいつも何かに悩んでいて、カラッと晴れやかな気持ちでいられた記憶ってそんなになくて。私に限らず、多感な時期の女の子って小さな世界の中で一人ひとりが複雑な事情や想いを抱えていること、あると思うんです。しかもその心の痛みは誰一人として同じではない。ただ、私自身、たくさん悩んできたので、問題の根源みたいなものは分かる。主人公の女の子たちの物語は実際に私が経験した話そのものではありませんが、『悩み』は物語の礎になって、書く原動力にもつながりました」

 ーーはじめての小説、生みの苦しみではないですが、書く上でつらかったのは?

「書いても書いても、担当編集の方に『主人公(の女の子たち)をもっと追い込んでください』と言われたことでしょうか(苦笑)。失敗して、葛藤して、惨めな思いをしたからこそ、大きな壁を打破して彼女たちは成長できるんだと思うのですが、一番追い込まれたのは、他でもない私自身で……。『追い込んでください』という呪文によって毎日9時から18時まで、昼食とコーヒーを飲む時以外はパソコンに向き合う日々を送っていた私が、一番、壁を前にしてもがいていたような気がします」

■いじめの終着点

 ーーいじめやスクールカーストの描写が出てきます。中学時代の鬱々とした気持ちを追い込んで掘り起こし、書き終えた直後の気持ちは?

「どっと疲れました。それでいて浄化というにはほど遠くて……。いじめって後腐れなくきれいに終わることってないような気がするんです。突然ぬるっと終わったり、自分自身が諦めたり。そういう消化しきれない感情を抱いたまま終着点を迎えるんじゃないかなって。もしかしたら、読者は読み終わった時にパアッと晴れやかな気持ちにはならないかもしれません。ただ、帯にも書いていただいた(書評家の)三宅香帆さんの『鮮やかに胸を衝いてくる読後感』という言葉はとっても嬉しかったです」

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  1. 6

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  3. 8

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  4. 9

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  5. 10

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意