「認知症」発症の真犯人説 脳を壊すタンパク質“タウ”って何?
また、異常な構造に変化すると本来の機能とは全く別の毒性をもって神経細胞そのものを死に至らしめるという。
「これまでアルツハイマー型認知症の主犯は老人斑のもととなるアミロイドβと呼ばれるタンパク質が有力でした。最初にアミロイドβが細胞の外に蓄積し、それが原因で細胞の中にタウが蓄積する。その結果、神経細胞が死に絶え、認知症が発症すると考えられてきました」
ならば、脳内のアミロイドβを除去すれば認知症は防げる、そんなコンセプトで世界中の学者や製薬会社が認知症治療に取り組んできた。しかし、複数の研究でアミロイドβの量を減らしても認知症の進行は阻止できなかった。
「つまり、アミロイドβの蓄積は認知症の症状やその進行とはあまり関係しないのです」
■実験ではポリフェノールやカテキンに抑制効果
一方、タウの蓄積と神経細胞死、さらには病状とその進行は、複数の研究によって強い相関関係が証明されているという。
「しかし、なぜ、タウが異常になるのか、神経細胞を次々と伝播して広がっていくのか、などはまだナゾのままです。ただ、アミロイドβが蓄積せずに、タウだけが異常になって蓄積してくる認知症があります。若年性認知症の一種であるピック病がそれで、まだ働き盛りの40~60代に多く、性格変化や抑制が利かない行動をする症状が表れたりします。また、転びやすくなったり、運動機能の障害が先に出る前頭側頭型認知症もあります」