【口唇口蓋裂】東京医科大学病院 口唇口蓋裂センター(東京西新宿)
「生まれたらすぐ歯科口腔外科で歯型を取り、上顎の裂け目をふさぐ着脱式の哺乳床を作ります。これを装着すれば赤ちゃんが自分で乳を吸って飲むことができるようになります」
そして、生後3カ月ごろになり体力がついてきたら、形成外科により全身麻酔下で唇の閉鎖が行われる。上顎を閉じるのは、しゃべり始める1歳半ごろ。また、口唇口蓋裂があると中耳炎を発症しやすくなるので難聴を防いだり、言語や発音の習得などに耳鼻咽喉科が関わる。
「当院での上顎を閉じる手術は、裂け目が軟口蓋(口の奥)から硬口蓋(口の前方部)に及ぶ大きい場合は、上顎の成長を阻害しないように2段階法を行っています。1回目の手術で軟口蓋を閉鎖し、5歳ごろに硬口蓋を閉鎖します。噛み合わせが関係する2回目の手術は口腔外科が担当します」
ただし、歯の成長があるので歯茎はすぐには閉じない。5歳以降から歯科矯正を始め、7~8歳になったら歯茎に腰骨の一部を移植する手術(入院は約1週間)をして歯槽骨を修復する。さらに上顎の成長が遅れ、上顎の前歯が下顎の前歯の裏側に入り込む“受け口”になるようなら、体の成長が止まる18歳以降に顎矯正手術を行う場合もあるという。