多くが悩む「ふるえ」って何? 症状や治療法を専門医解説
前述の通り、本態性振戦は姿勢・運動時のふるえで、パーキンソン病は安静時のふるえだが、時に見分けがつきにくい。「ダットスキャン」や「MIBG心筋シンチグラフィー」という画像検査、脳血流の検査や小脳・基底核、前頭葉のGABA機能を見る検査が見分けに役立つ。本態性振戦は遺伝子の異常との関係も近年指摘されており、家系の病歴が診断の手がかりになることもある。
「本態性振戦では、ある種の高血圧治療薬やてんかん治療薬が効果的です。日常生活に支障をきたすほどふるえがひどい患者さんでは、脳にペースメーカーのようなものを埋め込み、ふるえを止めるDBS(脳深部刺激法)の治療が検討されることもあります」
一方、パーキンソン病では薬物治療が中心。原因は解明されていない部分もあるが、神経伝達物質の異常で不足した脳内ホルモンを薬で補う。
残念ながらどちらも完治は難しい。ただ、ふるえの多くを占める本態性振戦は良性の疾患で、患者の中には「病名が分かっただけで安心した」と言い、薬を飲んでいないのに「症状が軽減した」と報告する人もいる。
また、パーキンソン病も現在は複数種類の症状改善薬があり、うまく付き合っていくことが可能だ。
「不安やストレスがあるとふるえなどの症状が強く出る傾向があります。患者さんには病気のことをしっかり理解してもらうことが、病気と付き合っていく上で重要です」