【副甲状腺ホルモン】カルシウム濃度を“2段構え”で調節
「骨の中のカルシウムはリンと結合して貯蔵されています。副甲状腺ホルモンは血液中のカルシウム濃度が低下すると分泌が高まり、骨に作用してカルシウムを取り出して使えるようにします。また、腎臓に働いて、カルシウムの排泄(はいせつ)を抑制し、リンの排泄を促すのです。さらに、ビタミンDの産生も高めます」
ビタミンは通常、食物から取らないと補えない栄養素。しかし、ビタミンDだけは体内でつくることができ、ビタミンD受容体も存在するのでホルモンのひとつとされる。つくられる臓器は皮膚で、日光(紫外線)を浴びることでコレステロールから産生される。
「皮膚でビタミンDの原料がつくられ、それが肝臓、腎臓へと運ばれて活性化されたビタミンDになり、腸管からのカルシウムやリンの吸収を促す働きをします。急激なカルシウム濃度の変化は副甲状腺ホルモンが対応し、ビタミンDは時間をかけてカルシウム濃度を管理しています。このように2段構えでカルシウム不足を防いでいるのです」
食物からのビタミンD摂取も大切で、不足すると、うつ病になったり、免疫力が低下して、がんになりやすくなることが知られている。
ただし、骨粗しょう症の治療などで過剰摂取すると高カルシウム血症を引き起こす場合もあるので、取り過ぎにも要注意という。