【副甲状腺ホルモン】カルシウム濃度を“2段構え”で調節
「カルシウム」は、体内でどんな働きをしているかご存じだろうか。骨をつくる材料になるだけではない。むしろ、骨はカルシウムの“貯蔵庫”として重要だ。
東京都立多摩総合医療センター内分泌代謝内科の辻野元祥部長が説明する。
「カルシウムは、生物の細胞の働きを正常に保つために欠かせません。普段、体内のカルシウム濃度は細胞の内側は低く、外側は高い。しかし、細胞が外側から刺激を受けると、細胞外から細胞内にカルシウムが流れ込み、それを引き金として細胞はさまざまな働きをします」
つまり、カルシウムは生命活動の根幹に関わるメッセンジャー物質のような役割を果たしている。そのカルシウムの血中濃度を厳格に調整する役割を担っているのが「副甲状腺ホルモン」と「ビタミンD」だ。
副甲状腺ホルモンを分泌する副甲状腺(上皮小体)は、のどにある甲状腺の裏側に左右2対ずつ計4個ある米粒大ほどの小さな臓器。名前は似ているが、甲状腺とはまったく関係のない独立した機能を持っている。