【甲状腺】昆布などの過剰摂取でホルモン産生は低下、弊害も
のどぼとけの下にチョウが羽を広げたような形でついている甲状腺。海藻などの食べ物に含まれるヨウ素(ヨード)を材料にして「甲状腺ホルモン」をつくり、分泌、保存する体内最大の内分泌腺だ。
甲状腺ホルモンは全身に作用する。新陳代謝を促す働きがあり、子供の成長や発育も促進する。つまり、全身のほとんどの細胞が甲状腺ホルモン受容体を持っている。結合の仕方も、体内ホルモンの多くを占める「ペプチドホルモン」と違う。東京都立多摩総合医療センター内分泌代謝内科の辻野元祥部長が言う。
「ペプチドホルモンは水溶性で細胞の表面(細胞膜)にある受容体と結合し、反応を起こします。一方、甲状腺ホルモンやステロイドホルモンは脂溶性なので簡単に細胞膜を通過することができ、核内にある受容体と結合します。それによって遺伝子が活性化され、特定のタンパク質(酵素)が生成されるのです」
作用が全身に及ぶため、甲状腺疾患で甲状腺ホルモンの分泌が過剰になったり、不足したりすると、全身にさまざまな症状が表れる。分泌が過剰になる甲状腺機能亢進症の代表格がバセドー病。代謝が激しく高まるので、手足のふるえ、動悸、多汗、体重減少、下痢、高血糖などが起こる。特に眼球が飛び出してくるのが特徴的な症状だ。