「食べ過ぎるから太る」は誤解 肥満の正体はホルモン異常
もうひとつの誤解は、食べ物は等しく脂肪として体内に蓄積されるリスクがあるとの考えだ。
「同じ量を食べても、玄米と精製されたお米では脂肪として体内に蓄積される量は違います。同じ食用油でも、動物性と植物性でも違います」
では、何が体重を決めているのか?
「ホルモンです。1食や2食、どんなにドカ食いしても、その後の体重が大きく変わらないのは、恒常性維持機能により、その人にふさわしい体重が設定されているからです。それを維持するために、ホルモンは体内のさまざまな器官に働きかけて摂取エネルギーと消費エネルギーをコントロールしているのです」
つまり、痩せたい人は体重そのものでなく、設定された体重の値を下げる努力が必要だ。
現在、体重の設定値に関係していると目されているのが、ホルモン分泌をコントロールする器官のひとつである脳の視床下部だ。実際、病気や事故で視床下部を損傷すると肥満になることが分かっている。
「肥満の人はホルモンが本来の機能を果たせない異常事態にある可能性があります。例えば、脂肪の蓄積が増えると脂肪細胞からレプチンと呼ばれるホルモンが分泌されます。それが血液を通じて視床下部に届くと“これ以上脂肪蓄積が増えないよう食欲を抑えて”という信号を送ります。しかし、肥満でレプチンが常に血液中に流れていると機能しづらくなります」