ブタの力でヒトの腎臓を作る 再生医療技術はここまできた

公開日: 更新日:

 後は、そのネフロン前駆細胞を注入した腎原基(凍結保存できる)を腹腔鏡手術で、患者の後腹膜に移植する。4週間ほどで腎原基に血管が侵入して発育が継続し、尿が作られるようになったら再度、腹腔鏡手術で尿管とつないで排尿できるようにするという。

「腎原基は4週間で30グラムほどに育ちます。人の腎臓の5分の1ですが、腎臓は10%くらい機能していれば生きられます。腎原基を1~2個移植することになると思います」

 ただし、この腎臓再生医療の研究開発は始動したばかりで、すぐに人に応用できるわけではない。マウスやラットでは成功したが、大きな動物では何が機能して、何が機能しないか、最初はサルなどを使って慎重に研究を進めていくという。

「iPS細胞を用いた再生医療は、細胞やシートは何とか作れますが、3次元の臓器を作れるようになるまではかなり時間がかかるでしょう。それまでに臓器発生のプログラムが働く環境を動物から借りるという手があります。生物の神秘を利用するのです」

 胎生臓器ニッチ法による人での腎臓再生が実現すれば、将来的には他の臓器に応用できる可能性があるという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です