ブタの力でヒトの腎臓を作る 再生医療技術はここまできた

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 ニッチはいわば臓器の“赤ん坊”を育てる“保育所”のような場所。簡単に言えば、臓器が作られる場所を別の動物から借りるというわけだ。

 これを人の腎臓再生に置き換えると、手順はこうなる。まず、ヒトiPS細胞から腎臓の“芽”となるネフロン前駆細胞へ分化誘導する。それを動物のニッチに注入するわけだが、人間と同じくらいのサイズの動物でないとダメ。

 そこでブタの胎仔(3センチくらい)のニッチを使う。ニッチはどこにあるかといえば、1ミリほどの腎原基という細胞群の中。その腎原基を顕微鏡下で取り出して、ネフロン前駆細胞を注入する。

 しかし、疑問がある。ブタの腎原基のニッチ内には既存の前駆細胞があるはず。混ぜてしまっていいのか。

「普通のブタの腎原基にそのまま注入してしまうと、2系統の前駆細胞からできたキメラ腎臓ができてしまいます。ですから、腎原基は明治大学の研究成果である『ヒト腎臓再生医療用遺伝子改変ブタ』の胎仔から採取したものを使います。既存の前駆細胞がいなくなる遺伝子操作が加えられているので、注入した前駆細胞だけが残ります」

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