「スーパーナース」の育成が若手医師のレベルも引き上げる
看護師は医師に比べて圧倒的に人数が多いうえ、通り一遍の看護師では終わりたくないという熱意のある方もたくさんいます。そうした向上心のある看護師に向け、日本看護協会は1996年に「認定看護師」の資格制度をスタートさせました。救急看護や訪問看護をはじめ、感染管理、皮膚・排泄ケア、緩和ケア、がん化学療法看護など、特定の21分野における「看護のスペシャリスト」育成を目指したものです。さらに、2014年には「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設されました。いわゆる一般的な看護だけでなく、より専門性の高い医師の補助業務に近い医療を提供するための研修制度です。
とはいえ、こうした制度はそれほど効果的に機能しているとはいえないのが現状です。それらを見直しつつ新たにスーパーナースを育成するための研修や制度がつくられて欧米並みに進んだとしたら、看護師の中でも優秀な人材が花開いていく可能性があります。そうなれば、患者にとっては医師よりも接する機会が多い看護師のほうが頼りになる存在になるのは間違いありません。
そうしたスーパーナースは、病院内の各部門に1人ずつくらい配置できれば十分にプラス効果が期待できます。たとえば、手術室、外来、ICUといった部門にスーパーナースがいれば、ほかのスタッフの気持ちの引き締まり方が変わり、医療レベルや医療安全が向上します。その結果、医師のレベルもアップしていくでしょう。