後が絶たない「小児性愛障害」は依存症…親はどう対策を
「子どもへの性加害を繰り返す小児性愛障害は、嗜癖行動(性依存症)の側面がある精神疾患です。彼らはその問題である種の苦痛を感じながらもやめられない。そして、忘れてはいけないのは多くの被害者を生みます。だから刑罰だけでなく、行動変容のための専門治療が不可欠です。しかし小児性愛障害の実態はほとんど知られておらず、具体的な対策を取れない。実態を明らかにして身近な問題であると知ってもらうとともに防犯意識を高めてほしいと、本を出版しました」
こう話す斉藤氏は、「榎本クリニック」(東京)で2006年から性犯罪を繰り返す人を対象にした専門外来を開設。18年には子どもに性加害を繰り返す「小児性愛障害」に特化したプログラムを日本で初めて開始した。これまで150人超の小児性愛障害者とかかわってきた経験を持つ。
■ある時“パンドラの箱”が開く人も
斉藤氏が小児性愛障害の治療の必要を強く説くのは、小児性愛障害を擁護しているからではない。依存症にはアルコール依存症や薬物依存症など自己の健康を害する問題が一般的だが、反復する性暴力は他者の健康を害する問題で、小児性愛障害はそんな他害行為を含む依存症の中でも極めて再発率が高いからだ。それは、小児性愛障害に「子どもも喜んでいた」「性教育の一環」「純愛だ」といった強力な“認知の歪み”があり、また日本は性加害を起こす引き金になるリスクの高い児童ポルノなどがネットなどで簡単に入手できることも関係している。