流行終息やイベント解禁日を推測「感染症数理モデル」とは
「感染症の拡大防止で、もっとも重要なのが『感染者の再生産』を抑えることです。感染者は病原体(ここではコロナウイルス)を保有していて、それを非感染者(ウイルスに対する抵抗力を持っていない人)にうつす能力を持っています。注意すべきは『感染者は発病者ではない』という点です。ウイルスに感染しても、病気が発症しない(無症状感染)こともあるからです。コロナウイルスでは、無症状感染者でも、感染力を持っているといわれていますが、病気によっては発病しないと感染力が出ないものもあります。その場合は使う数式が違ってきます」
ただし感染者は、通常は時間が経過すると、免疫が働いてウイルスが駆逐され、回復者となって感染力を失う。亡くなった人も、その時点で感染力が消失する。一方、非感染者が新たに感染者になる(二次感染者)になると、さらなる感染者(三次感染者)を生み出すことになる。
「1人の感染者が、平均何人の非感染者にウイルスをうつすかを『基本再感染数』と呼びます。これは病気の種類によって異なります。麻疹なら20前後(1人の患者が20人にウイルスをうつす)、水痘は10前後、インフルエンザは2~3とされています。基本再感染数が1より大きければ(1人の感染者が1人以上の非感染者にウイルスをうつせば)、感染者は時間とともに増加しますし、大きいほど感染拡大のスピードが速くなります。また1より小さければ、感染は時間とともに終息していきます」