新型コロナ血栓の怖さと対処法 死因は肺炎だけではない
高齢と血液の固まりやすさを示すプロトロンビン時間(PT)の延長が、血栓症の起こりやすさに関係していた。健康そうに見えるCOVID―19患者が突然倒れ、血液の深刻な酸素不足に陥るのはこれが原因のひとつと考えられる。
COVID―19で血栓ができるメカニズムは現段階では次のような可能性が考えられている。
(1)新型コロナウイルスが血管内皮に感染して炎症を起こすことがしばしばあり、微小血管などで血栓ができやすくなる。
(2)感染により敗血症や間質性肺炎になると、酸化ストレスが強まるが、これは微小血栓ができる播種性血管内凝固症候群(DIC)の発症に関係する。
(3)感染細胞から放出されるサイトカインシグナルが、免疫細胞(Tリンパ球)を感染部位に誘導する。集まった免疫細胞からもIL6などの炎症性サイトカインが放出され、サイトカインストームを起こす。これが凝固因子Ⅱ(トロンビン)を活性化して、フィブリノーゲンからフィブリン塊ができ、血小板や血球などを取り込んで血栓ができる。また、トロンビンは炎症反応をさらに強めて、血栓がどんどん成長する。このような血栓は太めの血管にもできやすい。