著者のコラム一覧
東丸貴信東邦大学名誉教授、平成横浜病院健診センター長

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

新型コロナ血栓の怖さと対処法 死因は肺炎だけではない

公開日: 更新日:

■入院時に血栓に関わる検査が必要

 いずれにしろ、全身の血液は固まりやすくなる。そこに血管炎があれば、さらに拍車が掛かる。血栓はそれができた場所を詰まらせるだけでない。末梢に飛び、血管を詰まらせる場合もある。急性心筋梗塞脳梗塞、末梢動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症(DVT+PE)などを生じ得る。米国の俳優が足の血栓のため、脚を切断したことは有名だ。

 米国マウントサイナイ病院では、50歳未満の軽症のCOVID―19患者から、脳梗塞を併発した症例が2週間で5人も出た。

 このように若く動脈硬化症が見られない人に急性心筋梗塞や脳梗塞が起こる原因は、血管炎による血栓か、血管の病気に無関係な血栓によるものと考えられる。

 COVID―19血栓症の血液検査では、血小板減少により、D―ダイマー(血栓が溶けてできるもの)の上昇、血液の固まりやすさを示す活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)とプロトロンビン時間の延長が認められる。特に、D―ダイマー上昇は重要で中国の症例では約半分に上昇が見られたとされ、入院時にかなり高めの患者は死亡リスクが約18倍高かったといわれている。また、PT延長も死亡リスクと関係すると報告されている。

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