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尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」名誉院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

コンドームの分類は「管理医療器具」重要性を見直すべき

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 日本では1909(明治42)年に国産第1号のコンドームが登場し、33(昭和8)年に現在のコンドームの基礎となるラテックス製コンドームが誕生します。戦前までのコンドームの主たる目的は性感染症予防です。当時は梅毒や淋病が遊郭などから蔓延(まんえん)し、命を奪う病気として恐れられていたからです。

 戦時中は「産めよ増やせよ」の時代ですし、当時は抗生物質がなかったので、戦闘ではなく性感染症で軍が滅ぶ恐れがありました。それで、コンドームは軍事物資として生産され、軍用では「突撃一番」「鉄兜(かぶと)」などの名称の製品が兵士に配布されていました。

 それが戦後、外地からの引き揚げ者650万人という人口増加による第1次ベビーブームが起こると一変します。一般家庭にコンドームが普及し、主たる目的が性感染症予防から妊娠予防へと変化するのです。

 また、48(昭和23)年までは、例外(強姦など)を除き、産婦人科での避妊・中絶・不妊手術などは、刑法で「堕胎罪」として禁止されていました。


 国内のコンドームの生産量は第2次ベビーブーム(70~75年)でピークを迎えます。そして、再び性感染症予防として脚光を浴びるようになったのは79年の「HIV」(エイズ)の発見です。

 唯一のHIV予防具として世界的需要が高まったのです。医療機器としてのコンドームの重要性を、あらためて見直してもらいたいと思います。

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