著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

コロナで献血が激減…命を支える治療のひとつ「輸血」の重要性

公開日: 更新日:

 最近、献血者が減っています。都内では、必要人数に対する協力者数の割合が6月以降に足りなくなって、80%台にとどまっているようです。不要不急の外出を避ける生活、繰り返される緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が献血にも影響していると思われます。

 輸血は病気によっては命を支える重要な治療手段です。血液は、血球成分の赤血球、白血球、血小板と、血球以外の血漿成分に分けられます。以前は、輸血といえば全血輸血でしたが、現在は「赤血球輸血」「血小板輸血」「血漿製剤」に分けられています。主に手術などの出血時に必要とされる輸血は赤血球輸血です。手術前には、想定される出血量を考慮して赤血球輸血を準備します。

 1970年代は「顆粒球(白血球)輸血」というものがありました。抗がん剤治療で白血球が極端に減り、敗血症や菌血症となった場合、実際に顆粒球輸血を行ったことがあります。抗生剤だけではなく、細菌から体を守る顆粒球輸血を行い、そうした状況をしのいだのです。

 ドナーの方の血液をナイロン・ウールカラムの吸着ろ過装置に循環させ、顆粒球が引っかかったカラムを取り出し、カラムから顆粒球を分離し、患者さんに静脈投与します。カラムから顆粒球を浮遊液に分離するのに、30センチほどのカラムをこん棒で20分ほど何回も何回も叩きました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」