なぜいま新型コロナウイルスの空気感染対策が必要なのか? 初冬の豪州ではすれ違い感染が
この区分に従えば、空気感染はすべてエアロゾルを介した感染となる。
「これまでは生きたウイルスが多数含まれる飛沫がくしゃみなどで吐き出され、それがテーブルやドアノブ、紙幣などに付着し、それを触れた手で口元や鼻などに触ることで感染すると考え、飛沫感染や接触感染の対策が中心となってきました。ところが、多くの人が素手で触れる紙幣を扱う銀行でクラスターが発生したとの話は聞かないし、ドアノブから感染者が多数発生したとの話も聞かない。むしろ、最近は野外音楽フェスティバルやバーベキューなどオープンスペースでの集団クラスターが増えていて、検疫のための宿泊施設で、お互いに面識がない人の間で感染が拡大したり、公共交通機関の中で遠く席が離れた人が感染したりした例が報告されている。感染経路の主役は接触感染でなく、エアロゾルを介した空気感染ではないか、との声が上がっているのです」
実際、欧米からは「接触感染はマレ」との論説も目立ち、日本国内の感染症の専門家や医師ら32人が賛同者として名を連ねた「最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明」では、「空気感染が主な感染経路」という前提でさらなる対策を求める声が上がっている。