「お灸」はなぜ効くのか? ピンポイントにツボを温めるから
そもそも、このお灸の歴史は古く、中国の春秋戦国時代(紀元前8世紀~前3世紀)に始まるとされています。日本では平安時代にはすでに行われており、鎌倉時代に仏教の普及と共に僧医が広め、各神社仏閣の名を冠した灸法も考案されるなど定着していきました。戦国時代には、戦国武将たちもお灸をしていたようです。江戸時代には庶民の生活に根づき、家庭で灸をしたり、市中には「灸すえ処」などのお灸施術所もありました。
かの俳聖である松尾芭蕉も「三里に灸すゆるより、松島の月まづ心にかかりて」という一節を「奥の細道」の序文に添えています。この文章からは、当時の庶民が足のすねにある三里のツボにお灸をして、足の疲れを癒やしていたことがうかがえます。
お灸が対処する具体的な症状としては、関節痛、筋肉痛、神経痛のほか更年期障害や不妊症などの婦人科疾患など多岐にわたっており、人間本来が持つ自然治癒力を引き出す東洋医学を代表する治療法といえるでしょう。